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AIを使って店舗でブランドをスマートに管理するには

By Manu Krishna, Director, Content Marketing at Trax

店舗の商品棚はアクションが起きる場所であり、顧客が購入の意思決定を下す場所でもあります。競合他社の一歩先を進もうとするCPG企業は、人工知能(AI)を導入し、この重要なポイントで情報を収集しています。

問題解決やプランニングなど、人間に近い特性を反映したAIアプリケーションは、現場の担当者の店舗訪問の順序を最適化し、収益を生み出すタスクを考慮した商品の配置や物流に費やす時間を短縮するだけでなく、収集したデータを使用してスマートな新しいイニシアチブを考案するのに応用されています。  

CPG企業は、常に激しい競争にさらされてきましたが、今もその状態は変わりません。しかし、一部の小売企業は、最新テクノロジーを使用して市場シェアを大きく伸ばしており、変化が見られます。

これまでは、テクノロジーを使用して収集した消費者動向、ブランドパフォーマンス、顧客体験、在庫、マーケティングに関するインサイトを基に、新たな動向を把握し、マーチャンダイジングに関する意思決定を行っていました。しかし、ここには見落としがちな盲点がありました。多くの顧客が購入の意思決定を行う店舗レベルでは、状況が把握できないのです。

そこで登場したのがAIです。カテゴリー、ブランド、商品レベルに至るまで、在庫、価格、位置、プロモーションに関する重要なデータをCPGと小売企業の両方に提供します。追跡と分析のデータは、売り場施策戦略の効果を上げる可能性があり、最終的に商品棚シェア(スペース配分)や収益拡大につながります。

小売戦略をスマート化するAIの新たな発展

AIは、コンピュータービジョンとディープラーニングを使って、こうした成果を達成します。コンピュータービジョンにはニューラルネットワークが組み込まれており、コンピューターが商品棚の画像の物体を検出して正確に分類することができます。

ディープラーニングは、機械学習を当初の目標に近づける新しい分野です。AI:ディープラーニングでは、コンピューターシステムに大量のデータを読み込み、観察·分析してパターンや傾向を認識し、最終的に適切な提案や予測を生成します。

ディープラーニングアプリケーションは、特にコンピュータービジョンの分野では、本格的な活用に向けて準備が整っている状態です。最近では、ニューラルネットワークアーキテクチャが、鳥、船、猫などの物体を正しいカテゴリーに分類し、ImageNet challengeで人間に勝利したというニュースもありました。

店頭の商品棚に話を戻すと、商品(オブジェクト)の微妙が違う、照明が暗い、反射する、背景が乱雑などの問題も、強力なAIアプリケーションで克服することができます。

データからインサイトへ:効率性を大幅に向上

AIアプリケーションを現場の業務に統合することで、エンドツーエンドの効率改善が可能になり、収益機会が広がり、商品棚シェアを大幅に向上させることができます。

営業担当者がルート上にある店舗に到着する前に、各店舗を訪問する最適な時間、対応可能なスタッフ、売り場のプロモーション、特定の店舗ニーズに基づいて、AIアプリケーションが最適な順序を決定します。

SKUに関する情報収集は、従来は手動入力で、時間がかかり、エラーが発生しやすい作業でした。この作業にデジタル画像認識を活用することで、店舗監査の効率化を実現することができます。データ収集、商品の配置、物流に費やす時間を短縮できるので、営業担当者の本来の業務、つまり積極的な営業活動に集中して取り組むことができるようになります。

たとえば、Trax Retail Execution複数の市場に8,000以上のブランドを持つあるグローバルFMCGリーダーは、店舗監査に費やす時間を50%も短縮し、売り場施策にかける時間を40%増やすことができました。

さらに、収集した情報を迅速に分析して、在庫切れの商品、フェーシング、価格、商品棚シェアを評価し、埋もれてしまったパターンを見つけ出して次のステップを指示することもできます。このほか成功した導入例では、Trax Retail Executionを使用して在庫切れを63%大幅に減らし、施策スコアを10%以上改善したコカ·コーラHBCが挙げられます。

ここで紹介した事例は、企業の営業活動におけるAIの可能性の一部に過ぎません。この分野はまだ新しいため、AIの進化は、CPGや小売企業のプロセス改善、収益と市場シェアの向上につながるでしょう。

このシリーズの2回のブログでは、実際の事例研究を通し、小売業界におけるAIのパワーを紹介しています。