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コンピュータービジョンを用いた売り場の画像からのデータ抽出

By Manu Krishna, Director, Content Marketing at Trax

小売施策におけるコンピュータービジョンの本当のメリットは、撮影した画像をすぐに使えるインサイト(洞察)に変換できることです。

以前のブログで、コンピュータビジョンソリューションによって生成された売り場データの場合、データ品質の中でも精度完全性などの要素が最も重要であることを説明しました。

では、コンピュータービジョンは、どのようにして売り場の画像を小売業者や消費財業界にとって意義ある定量的データに変換しているのでしょうか?画像を利用して実店舗の状況を把握する場合、どんなツールや手法が使われるのでしょうか?

実店舗のデジタル化

コンピュータービジョンを小売施策に使用する場合、手作業による監査よりもはるかに正確に実店舗の状況を生成できるのは大きな利点です。このアプローチは、商品棚とディスプレイが主体なので、スキャナーのデータと比較すると、商品棚の在庫状況(OSA)や商品棚のスペース配分(商品棚シェア)などの指標に関するデータを豊富に提供できます。

撮影した画像を実行可能なインサイトや意思決定を促すKPIスコアに変換する場合、店舗の総合的なデジタル化された情報が必要です。最先端のコンピュータービジョンプラットフォームは、高度な画像ステッチ機能やジオメトリック補正を活用して、実店舗をデジタル化します。

  1. パノラマの画像ステッチ

    世界のどこかのストリートをバーチャルで歩き、有名な史跡や観光名所を巡り、店やレストラン、ホテルを見つける必要がある場合、ほとんどの人がGoogleマップの機能の一つ、Googleストリートビューを使います。これは、世界中のストリートに沿ってパノラマ撮影した映像を提供するサービスです。ほとんどの画像は車から撮影されていますが、表示されているのはパノラマ画像をステッチ処理したものです。

    コンピュータービジョンを使用して売り場の状況を把握するには、さまざまな商品が配置された通路に沿って、膨大な量の画像を撮影しなければなりません。このような形のデータを視覚化するには、複数の角度から写したパノラマを使うのが最も有効でしょう。

    簡単に言えば、さまざまな角度や機器で撮影した個々の画像を抽出し、位置合わせし、最終的なパノラマ画像を生成するというものです。このようなモザイク加工、またはステッチは、他の業界と比較すると、小売業界では特に複雑な計算が必要になります。

    小売業以外の場合、たとえば、不特定多数の人の中で顔を追跡するのは、比較的簡単です。何度も同じ顔が反復して認識されることはほとんどないからです。しかし、似たような商品を隣り合わせで配置することの多い小売店では、重複や重なりを防ぐため、商品棚を視覚的に再構築するには、高度なアルゴリズムに基づいて構築されたステッチエンジンが必要です。

    店舗データのキャプチャにおける最新のイノベーションは、拡張現実テクノロジーを搭載しており、商品棚のどの部分が撮影されたかを正確に監査員に伝え、ステッチプロセスのスピードを劇的に向上させています。

     

  1. <ジオメトリを使用して商品の位置とサイズを特定

    消費財メーカーは、ブランドの認知度を把握する場合、商品棚の直線的なシェア(スペース配分)などの指標やKPIに依存します。この指標は、商品棚の全長 (インチまたはメートル) のうち、カテゴリー内でそのブランドが占める物理的な商品棚の長さの割合を示します。

    Traxのシステムでは、撮影した商品棚に対する角度と距離を考慮した高度なジオメトリック技術を使用しています。この技術によって、平積みされた商品でも、商品棚にある各商品の正確な位置がわかります。たとえば、商品棚2、ベイ4のコカコーラ600mLを、スタックの一番上の右から4番目のアイテムとして、ピンポイントで指定することができます。

    しかし、商品棚の直線的なシェアのような測定指標を計算するには、位置の把握と同じぐらい重要なのが、個々の製品サイズを把握することです。各商品を囲む長方形のマスクを作成し、小型サンプル商品の既知の寸法を読み込んだディープラーニングアルゴリズムを使用して、占有する商品棚スペースの正確な面積を計算します。

  1. 複雑な商品棚測定を実現する基盤

    イメージステッチとジオメトリエンジンは商品棚全体をデジタルデータとして再作成しますが、データを意味のあるインサイト(洞察)に変換する必要があります。

    柔軟で俊敏なKPI計算エンジンは、集約された多次元データポイントに基づいて動作し、商品のプレゼンス、位置、プラノグラム、プロモーション、価格設定など、さまざまな店舗パラメータに関する実用的なインサイトを提供します。

    計算された指標は、ブランドや小売業者が抱えるさまざまな疑問に対する回答になるかもしれません: 当社の商品棚のシェアは妥当か?当社のパワーSKUは店頭にあるか?適切なフェーシングがあるか?当社のディスプレイやプロモーションの効果は?これらのインサイトは、現場の営業担当者からスーパーバイザー、本社のマネージャーまで、それぞれの役割に応じてカスタマイズされたダッシュボードで提供されます。

    店舗の状況を正確にキャプチャし、情報を実用的なインサイトに変換するには、パノラマステッチとジオメトリック計算を実行する高度なアルゴリズムが不可欠です。

    このビデオでは、Traxコンピュータービジョンプラットフォームの内部まで詳しく紹介しています。