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AI(人工知能)を駆使したTraxの在庫管理

By Manu Krishna, Director, Content Marketing at Trax

従来の実店舗とデジタルのショッピング体験の融合が進み、画像認識テクノロジーソリューションは、ハイテクに精通した消費者だけでなく、サービスを提供する小売業者にも浸透しつつある。

この記事は、PYMNTSSamsung Payが共同でまとめた「The Digital Consumer Report(デジタル消費者レポート)の一部として書かれたものです。このレポートでは、AIとディープラーニングを活用してデジタルとリアルな店舗の差を縮め、すべてを網羅したオムニチャネルを実現する現代の小売業の取り組みが取り上げられています。

この10年間、商品棚管理などさまざまな活用事例が生まれてきました。これらのソリューションは、最新の在庫状況を正確に把握し、サービス提供の改善を図る小売業者(特に実店舗)を支援しています。

しかし、このテクノロジーを企業のソリューションに加えようと思うと、想像以上に難しいものです。ビギナーにとっては導入までのプロセスが長く、数々のミスやエラーを伴うからです。大きな在庫を抱える大手の小売業者の場合、こうしたミスやエラーは指数関数的に増える可能性があります。

現在、Traxをはじめとする画像認識ソリューションプロバイダーが登場し、小売業務へのテクノロジーの導入や統合を支援しています。シンガポールを拠点とするTraxは、店舗内の商品管理の合理化を検討する小売業者を対象に、AIと機械学習を活用した画像認識テクノロジーを提供しています。商品の在庫追跡にテクノロジーを活用し、人為的ミスによる在庫評価の誤差を減らすことが目的です。

先日実施されたPYMNTSとのインタビューで、Traxのグローバルリテール事業担当のゼネラルマネージャー、David Gottliebは、画像認識やAIを活用した商品棚管理の仕組みなど、実店舗型小売業者のデジタル化に関する同社のビジョンを語りました。Traxなどが提供するソリューションが登場するまで、商品棚管理が十分に行われていなかった背景には、手作業で人手のかかるプロセスだったことが主な原因でしょう。

「一定の時間帯になると、店員が店内を歩き回って、カラになった棚を探し、スキャナーでスキャンするのです」と、彼は説明します。店舗が広い、あるいは商品点数の多い小売店の場合は特に、作業にかなりの時間を取られることになります。Traxのシステムは、カメラを使ったリアルタイムな監視により、商品棚管理作業にかかる時間を短縮することを目指したものです。AIによる画像認識に基づいて在庫の変化を識別し、販売または再発注が必要な商品の数を正確に把握できるようになっています。

しかも、こうした画像の用途は、在庫管理情報だけに留まりません。Gottliebによると、保存された画像には顧客情報や製品情報も含まれており、分析目的にも利用できるのだと言います。

「当社は画像認識テクノロジーだけを提供しているのではありません」と彼は語ります。「画像から生成された生データ、主要なパフォーマンス指標データ、そしてマスターデータであるメタデータなど、複数のレベルでデータを保存しています」

それぞれの使用事例を踏まえ、画像認識テクノロジーは、顧客がどんな製品を購入するのか正しく評価する実店舗型の小売店の能力を強化し、今後どこに力を入れるべきかの判断材料として情報を収集するためにも活用できます。

小売店の希望が利益率を上げることであれば、最も価値の高い商品、あるいは販売回転率(セールスベロシティ)の高い商品をスタック、またはランク付けすることもできます。

「小売業者が知りたいと思っている情報は、どんなものでも提供できます」と、Gottliebは付け加えます。

Traxが描くデジタル化された未来の小売業のビジョンは、供給側に偏っているわけではありません。顧客のショッピング体験の最適化を目的とした、AIによる画像認識の提供も計画しているようです。デジタルの要素をリアルな店舗に組み込むというコンセプトで、その一つが、顧客が実際の店舗でネットの検索バーのように「検索とフィルタ」にかけて商品を探すことができるシステムです。

このため、Traxでは、お客様が希望する商品の在庫状況をリアルタイムで把握できるモバイルアプリへのサービス拡大に取り組んでいます。このシステムによって「[実際の店舗の中の売り場]商品の場所がわかるだけでなく、実際の商品を確かめることもできます」と、Gottliebは説明します。こうしたモバイルアプリの開発は大きなビジョンの一環だと、彼は付け加えます。つまり、AIと機械学習を活用した「デジタル型店舗」の基盤を築くものだということです。

これは、いかにTraxがデジタル機能(この場合は画像認識テクノロジー)への投資の重要性を認識しているかを示しています。小売業者が望んでいるのは、AIと機械学習をフルに活かし、シームレスでオムニチャネルに対応した顧客体験を実現し、顧客から期待の声が高まる便利な「コネクテッドショッピング」体験を提供することなのです。