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AIを活用して、スマートで迅速な小売インサイトを実現

By Manu Krishna, Director, Content Marketing at Trax

最新の記事で、人工知能(AI)の発展によって、CPG企業の店舗訪問やSKU分析の方法が戦略的な変化を見せていることを取り上げました。今回は、AIソリューションを使用してブランドの認知度を改善し、大幅な収益増加を実現した3社の事例を紹介します。

CPG企業や小売業者が 店舗の通路やF&B販路の実際の状況を把握する上で見落としがちな盲点を改善し、競合優位性を高めるには、AIが力を発揮します。

AIアプリケーションにディープラーニングとコンピュータビジョンのパワーを活用することで、販売担当者は、価格、商品の配置、プロモーションに関する重要な情報を即座にチェックすることができるようになります。データを追跡し、パターンや傾向を分析することで、小売施策の効率的な実行が可能になります。

TraxAI搭載ソリューションを導入した複数のCPG企業の事例を紹介します。導入の結果、営業担当者の効率を強化することで売上を伸ばす、プラノグラム(棚割り)コンプライアンスや商品配置に関するインサイトをカテゴリーマネージャーに提供する、店舗マネージャーが店舗の状況に関して情報に基づいた決断ができるなど、さまざまなメリットが実現しました。
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担当者の効率性の向上と在庫切れの削減

ドイツのスーパーでヘアケアやスキンケア商品の通路を歩いたことがあるなら、ヘンケルの製品を手にした人は多いでしょう。ヘンケルビューティーケアは、6種類のカテゴリーに900以上のSKUを持つグローバルリーダーですが、他の巨大企業と同様、売り場通路でのシェア(スペース配分)に関して問題を抱えていました。

これまでは、マーチャンダイジングチームが手作業で商品棚の監査を行っていたため、店頭での販売活動に割ける時間は、1時間に10分程度でした。

しかし、Trax Retail Executionを導入してからは、スマートフォンを使って商品棚の画像を簡単に撮影できるようになりました。撮影した画像はTraxのクラウドで分析され、ほぼリアルタイムで有効なインサイトに変換されます。

このシンプルな移行だけで、物流チェックとデータ収集に要する時間が50%も短縮でき、収益創出機会の獲得に取り組む時間が150%も増えました。

ヘンケルのビューティーケア部門の売上の90%は、トップ10のブランドによるものです。SKUレベルで詳細な情報をキャプチャすることで、豊富な現場のデータにアクセスできるようになり、商品棚にないコア商品を特定し、在庫切れの割合を4.3%も減らすことに成功しました。是正措置を実施した結果、3ヵ月半で2%以上の収益アップを達成しました。

市場戦略の再編成とシェア拡大

アジア太平洋地域最大のボトラー兼飲料販売会社であるコカ·コーラアマティルは常に小売戦略の活性化を行っています。

同社は、従来から好調を維持しているカテゴリー「アイスティー」について、警戒を緩めることなく、取り組みを続けたいと考えていました。コカ·コーラは、最も近い競合他社より15%も高い製品普及率を達成していました。しかし、Trax Retail Executionと提携して調査を進めた結果、同社の合計フェーシングは競合他社よりも少ない(-4%)ことが明らかになりました。

また、コカ·コーラのアイスティーを置いている店舗では平均3.76種類のフレーバーがあり、競合製品を置いている店舗では平均6.58種類のフレーバーがあり、商品棚シェアの向上につながっていることもわかりました。しかし、このデータは4つの重点地域のうち2つにだけ当てはまるものでした。

そこで、コカ·コーラでは、全店舗で新しいプロモーションを展開するのではなく、競合他社に対して市場シェアを拡大する必要のある地域をターゲットにしました。この戦略が功を奏し、わずか2週間で市場シェアが5%拡大し、売上は27,400ドルの伸びを記録しました。

POSでブランドのコンプライアンスを監視する

ボトリング会社の超大手であるコカ·コーラHBCロシアでは、HoReCa(ホテル/レストラン/カフェ)セクター、ガソリンスタンド、ファーストフードなどのオントレードチャネルにサードパーティの監査システムがないことから、Traxと提携し、問題解決に対処しました。同社は、営業担当者に全面的に依存しており、これらの店舗におけるブランドのプレゼンスとコンプライアンスを評価するための強固な監査メカニズムを必要としていました。

Traxの協力により、同社は、マーチャンダイジング基準の準拠率を監視し、ブランドのエンゲージメント活動の影響を評価するプロセスを確立しました。Traxのソリューションは、主な活性化マーチャンダイズの画像を認識·分析を行い、各販路タイプのマーチャンダイジング基準とのコンプライアンスを追跡しました。たとえば、「コンボ」の画像は、メニューやディスプレイで飲み物のグラス、食品、割引などの組み合わせをキャプチャするものです。

このソリューションによって、販路におけるブランドの活性化監査プロセスが合理化され、合意したタッチポイントプランから最高の費用対効果を得ることができました。

こうした事例が示すように、AIは、CPG企業が競合他社をリードするために欠かせない力強い味方です。Traxが提供するようなソリューションは、商品棚の状況を把握するための情報源となりつつあります。これによって、企業は商品棚シェアと収益を向上するだけでなく、マーチャンダイジング基準や計画とのコンプライアンスを守ることができるのです。