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店舗レベルのデータを活用して、ワンランク上のプロモーションを計画・実施するには

By Manu Krishna, Director, Content Marketing at Trax

プロモーション費用は、売上原価に次いでCPG企業の収支(損益計算書)で2番目に大きく、収益の最大25%を占めています。しかし、こうした店頭でのプロモーションの多くは、売上に目立った効果はなく、逆にマイナスになるケースもあります。ある試算によると、プロモーションの2030%は、コストを相殺するほどの売上増加にならず、利幅が薄くなるだけだと言うことです。

企業が、指標が時代遅れであったり、プロモーションの効率性を理解できないなどの障害を克服し、優れたプロモーションを計画するだけでなく、実行力を向上するにはどうしたら良いのでしょうか?答えは、店舗の状況に関する詳細かつ最新のデータにあるかもしれません。

プロモーションの実行力を向上するには?

Quri現在は米トラックス社の傘下にある)が実施した調査、「Popai Compliance Initiative」によると、ディスプレイのコンプライアンスに関するCPGの試算と店舗の現実との間には明らかな食い違いがあることを示しています。

Quriは、Ahold DelhaizeKrogerCVSDollar GeneralWalmartSafewayShopRiteRite Aidなど、全米5,643の店舗で独自のプロモーションディスプレイを17件監査しました。この監査では、フロアスタンド、エンドキャップ、PDQ、および出荷業者から112,000以上のデータポイントを収集し、ディスプレイ実行の全体像を把握しました。

この店舗レベルの分析では、ディスプレイの42%が計画のコンプライアンスを満たしていないことがわかりましたが、CPGが想定していたは70%以上のコンプライアンス(準拠)率を想定していました。

さらに重要なのが、コンプライアンスに沿ったディスプレイは売上を伸ばすことです。最も高いコンプライアンス率を示しているのはエンドキャップで、このタイプのディスプレイが最も売上を伸ばしたのも偶然ではありません。

CPGで店舗レベルのデータがさらに必要な理由

マーケティング予算は、テレビなどの従来の大衆媒体から店舗へと移行しつつあります。その理由は?店舗でのマーチャンダイジング媒体は、最初のMoT(真実の瞬間=モーメント・オブ・トゥルース)での行動、つまり商品棚での購入の意思決定に影響を及ぼすからです。

しかし、ここで一つの疑問があります。CPG企業は、プロモーションの成功を測定しているのか?ということです。測定しているとしたら、厳格な分析基準を設けているのでしょうか?

一部の大手メーカーでは、プロモーションの効果を調査する専門のアナリストチームを設けています。しかし、Booz & Co Studyの調査によると、個々のイベントレベルで相対費用を測定する能力があるのは5社の1社しかないということです。さらに、最新のPOIレポートによると、消費財企業が評価できるプロモーションの割合は最高で約40%であることがわかりました。

何よりもまず、この事実はプロモーションのプランニングに影響を及ぼします。店舗ごとの客観的なデータがないため、プロモーションプロセスにおける因果関係を把握することができないからです。その結果、ほとんどのメーカーはプロモーションを 「適用外」 と見なして、毎年同じプログラムを繰り返しているのです。さらに、小売業者に対しては「実績ベース」で支払う方法しかないのが実情です。これは、平均値に基づいた方法で、セグメント化や分析を可能にする店舗の複雑度やパフォーマンスの相互関係を把握することができません。

次に、上述のQuriの調査でもわかる通り、プロモーションをモニタリングしない場合の明白な影響として、コンプライアンスに関する問題が挙げられます。

適切なデータを迅速かつ大規模で取得

この厄介な問題を迅速に解決するには、膨大な数の店舗から集めたデータをクラウドソーシングして、ディスプレイのコンプライアンスを確保し、キャンペーンの成功を継続的に監視する方法が考えられます。

小売業のクラウドソーシングにより、CPG企業に正確なビッグデータが迅速に提供されます。売り場のディスプレイや棚卸監査を行う消費者監査員を利用することで、CPGは証拠(エビデンス)に裏付けられた信頼性の高いデータに迅速かつ大規模にアクセスすることができます。このデータは、売り場施策を明確に可視化し、バイアスとエラーの範囲を最小限に抑えます。

たとえば、ある大手家庭用洗剤メーカーは、Traxと協力して当社のクラウド対応の測定ソリューションを活用し、ターゲット店舗でのクォーターパレットディスプレイプログラムの効果を分析しました。

計画通りにキャンペーンが実施された店舗では、ディスプレイ施策が適切に実施されなかった店舗よりも売上が227%も伸びたことがTrax Retail Snapshotによって明らかになりました。この事実を知った小売バイヤーは、1ドルの投資につき7.25ドルのROIを得て、すべての店舗でクオーターパレットを追加導入を承認しました。その結果、売上が伸び、ブランドと小売業者の間には双方に利益のある(ウィンウィン)関係性が生まれました。

売り場の画像で補足を行う調査ベースの監査を実行する場合、最も多いのが「クラウド」を使った方法です。テクノロジー情報に精通したメーカーの場合、売り場情報をデジタル化し、分析に豊富なデータを提供する画像認識搭載のモバイルアプリで、消費現場の対応力を向上しています。

その結果は?クラウドソースによるプレゼンスを通じて店舗レベルでデータを収集することで、短期的にはプロモーションの成果を上げ、長期的には洞察(インサイト)を得ることができます。

詳細については、Promotion Optimization InstitutePOI)との共同レポート「Winning through More Insightful, Better Executed Promotionsをダウンロードしてください。